半世紀以上にわたりたった一人で献水活動を続けてきた宇根利枝さんの物語

平和記念公園原爆死没者慰霊碑の様子

 昭和20年8月6日8時15分広島に原爆が落とされたとき、自らも被爆した
宇根さんは、
その後、幾年も経て偶然にも教順寺の「滝の観音」に出会います。
 「あの原爆で亡くなった人たちのこの清い水を飲ませてあげたい。」
このお水を慰霊碑にもっていって、お詫びしよう。水をお求めて息途絶えた
犠牲者を悼みながら「許してください」と。
 その時以来、半世紀以上にわたりたった一人でカートを引いて広島市内
120ヶ所以上もの原爆死没者の慰霊碑に献水を続けてきた宇根さんの遺徳は、意外にも広島においてあまり知られていません。
 広島市が昭和49年に始めた平和記念式典開式直前の「献水の儀式」でも、この滝の観音の水を原爆慰霊碑に捧げてきました。
そして、平成24年2月10日に93歳で死去しました。
この原爆献水は谷安啓さんに引き継がれ、
現在も毎年8月6日7時55分から行われています。